
ほら…今日は自分でするの!
君はそういうのも…好きなはずよ?
もし逝ったら…
歪んじゃうけど
いいよね?
加賀美レイナによる「童貞マゾ回顧録シリーズ」第3弾
音声パートまでの小説部分を公開!
【1】-ボクサーパンツ-
目覚めと共に視界に入ってきたのは真っ白い天井だった。
僕の部屋の、僕の頭上にいつも存在する真っ白い天井。
起き上がろうとして少し体を動かしたとき、体が汗ばんでいるのを感じた。
汗を吸い込んだTシャツは背中に張り付き、軽くアイロンをかけたのような、じんわりとした熱を帯びている。
僕は『これだから暑いのは嫌いなんだ』と呟きながら、ロフトの階段を降りた。
まだ4月だというのに、その日は夏日を思わせるほどの暑さだった。
もちろん気象だけの問題ではない。
僕が住んでいた建物の諸事情が影響して、汗だくの起床となってしまったのだ。
僕が住んでいた渋谷区のアパートは、6畳のワンルームにロフトが付いた、ありふれた建物だ
った。ただ、熱のこもりやすいロフトスペースに、厚めのマットレスを置いて寝ていたものだか
ら、必然的に暑さに敏感になってしまうという訳だ。
ロフトにも窓は設置されていたが、それは窓というにはあまりにも小さい代物で、涼しい風を
取り込むことなど期待できなかった。
そして、エアコンの風も角度の問題でロフトには届かない。
本格的な夏が訪れると、下のフロアのソファーで寝るしかなくなる訳あり物件だ。
しかし、ロフトスペースの天井が高く、屋根裏部屋みたいな雰囲気を味わう事ができることが
特徴的で、僕はそのアパートのことを気に入っていた。
4月の末に、起床して浴びるシャワーが、水に近い温度で丁度よいと感じることになったとしても…だ。
僕は浴室から出てタオルで体を拭くと、下着を入れているランドリーラックの引き出しを開け
た。中にはウエストのゴムがヨレヨレになったボクサーパンツが無造作に突っ込まれている。
実際にそれらが何枚あるのか数えたことはないし、綺麗に畳まれているわけでもない。
通販で買った安物のパンツだ。
見た目だけで判断するなら、洗濯したものなのか疑う人もいるかもしれない。
しかし、ラックを閉めればそんな事は関係ない。
洗濯したという事実があればそれでいいのだ。
僕がやるべきことは、ラックの中から無造作にパンツを1枚取ることだけだ。
男子大学生のひとり暮らしなんてものは、そのくらいが丁度良いのだ。
しかし、そんな僕の習慣に、少し前からある変化が訪れていた。
ラックの左端に、綺麗に畳まれたボクサーパンツを見かけるようになったのだ。
その数は3枚。
ウエスト部分に『Calvin Klein(カルバン・クライン)』という文字が刻まれている。
生地に若干の光沢と伸縮性のある綺麗に畳まれたボクサーパンツは、僕が無造作にラックに突っ込んだ他のパンツとは少し異なり、輝きを放っているように見えた。
そして僕は悩む。
どちらのボクサーパンツを履いて行くべきか… と。
それは単なる選択ではなく、彼女の事を脳裏に思い浮かべながら行う重要な決断であり、僕を
悩ませる習慣になっていた。
【2】-代々木のコテージ その2-
初めて彼女の前で行った射精は、とても刺激的なものだった。
僕は彼女のハンドテクニックによって、パンツを履いたまま精液を発射してしまった。
屈辱感と羞恥心と性的快感を同時に与えられ、体が震えるほど感じてしまう射精だった。
『パンツに精子をベッタリつけたまま電車で帰るのか… 、それとも歩いて帰るのか… 』という
彼女がイタズラっぽく提示した選択肢に対し、僕は心の中で密かに、そして自動的に「歩いて帰
ること」を選んでいた。
そして実際に射精した。
言うまでもなく、それはとても珍しい体験だ。
射精後に訪れるはずの賢者タイムは、彼女の美貌と軽い言葉責めによって亡き者にされ、僕は
軽く興奮した状態で、精液を漏らしたまま帰宅することになるはずだった。
それでも僕の心の中には『まぁ仕方ないか』という納得感さえあった。
しかし彼女は着替えを用意してくれていた。
オフィスの見てくれをした『代々木のコテージ』には、シャワールームが完備されていたのだ。
「ほら、これを使って?」
そう言って彼女が差し出してくれたのが、茶色いタオルと綺麗に畳まれたカルバン・クライン
のボクサーパンツだった。
「ベトベトになったパンツは、洗面所のゴミ箱に捨ててくれていいからね」と彼女は言った。
洗面所は思ったよりも広く、小綺麗で居心地の良い空間だった。
前面に大きな鏡があり、洗面台は、焦げ茶色の分厚い木製の板に白い洗面ボウルを埋め込んだような独特な形をしていた。
木製の板の下は収納スペースになっていて、タオルや洗面用具らしきものが綺麗に整頓されて
置かれている。
そしてそのすぐ横に、彼女が言っていたゴミ箱があった。
僕は彼女に言われた通り、パンツを脱いでゴミ箱に捨て、透明なガラスの引き戸を開けてシ
ャワールームに移動した。
シャワールームは洗面所の雰囲気とは違い、グレーと黒のタイルを貴重とした落ち着いた空
間になっていた。
シャワーヘッドは大きな円の形をしていて、水の勢いも申し分ない。
オフィスに備えられたシャワー設備だというのに、僕のアパートのそれよりも遥かに使い勝手が良い。
『シャワーが付いてるからコテージと呼んでるのか… 。この調子だと寝心地のよいベッドまで
出てきそうだ』
僕はそんなことを考えながらオフィスの間取りを頭の中に思い浮かべた。
馬鹿げた話だが、実は部屋のどこかに扉があって、その奥にはベッドルームが完備されてい
るなんてこともあり得ないことではない。
僕は自分が持っている常識や価値観が通用しない世界に足を突っ込んでいるのだ。
そんな気がした。
※
シャワーを止めてタオルで体を拭きながら僕は考える。
浴室から出ていって彼女にどのように接するべきだろうかと… 。
でも答えは出てこない。当然だ。
男が射精をした後に、女性にどのように接すればいいのかなんて、僕に分かるはずがないの
だ。しかもそれが普通の射精ではなく、パンツを履いたまま精液を垂れ流しすという個性的な
射精だったのだからなおさらだ。
「やれやれ」と僕はため息をついた。
そして彼女が用意してくれたパンツを手に取った。
黒いカルバンクラインのボクサーパンツ。
その手触りは僕が普段使っているものとは明らかに違った。
そして実際に穿はいてみると独特のフィット感があった。
ただ少し窮屈にも感じる。
生地に伸縮性があるので「こんなものか… 」とも思ったが、タグを確認するとSサイズと印字
されていた。サイズが小さいから窮屈に感じるのか、それとも元々そういう仕様で作られているのか僕には分からなかった。
そもそもカルバンクラインのボクサーパンツなんて、僕の買い物リストの選択肢に入ること
はないのだから。
いずれにしても、その違和感に対して文句を言う権利は僕にはない。
漏らしたパンツを穿いたまま、歩いて帰る事態は回避できたのだから。
そうして僕はパンツを穿いて服を着て、浴室をあとにした。
※
「随分長いシャワーだったのね。落とすのが大変なくらい濃厚だったのかしら。」
彼女は微笑みを浮かべながら僕をからかった。
そして椅子から立ち上がり、ピンク色のタンブラーにコーヒーを注いだ。
「いやいや、そんなことはないです。ただすごく居心地のいいシャワールームだったので」
と僕は言った。
浴室から出てきた僕に対する彼女の接し方に変わりはなかった。
僕が憂慮していたような気まずさを感じることはない。
むしろ少しだけ打ち解けた関係になったと言えるのかもしれない。
軽い下ネタも言い合えるようなフランクな関係になったような気がした。
「あの… なんかコレ… パッツンパッツンというか、少し窮屈な気がするんですけど… 。
ハイブランドのパンツってこんな感じなんですか?」と僕は訪ねた。
「私は穿かないから分からないわ。どれくらい窮屈なのか、ズボンを脱がせて確認してほしい
の?」と彼女は言った。
「いやいや、まさか… 。パンツを穿いて帰れるだけで幸せです。正直、歩いて帰ることを覚悟
していたので。」
「本気で言ってるの?私がそんなイジワルするわけないじゃない。」
そう言いながら、彼女は僕の股間を軽く撫でた。
そしていつものようにさりげなく、報酬の入った茶色い封筒を僕に差し出した。
「明日も時間通りにお願いね」と言いながら、僕が断れない絶妙のタイミングで… 。
僕は小さな声で「はい」と返事をして代々木のコテージを後にした。
【3】-おもらし射精の後遺症-
清潔なパンツを穿いて帰路につくことを許された僕だったが、結局歩いて帰ることにした。
衛生面での心配がなくなったとはいえ、わざわざ人ゴミをかき分けて駅に向かい、満員に近
いであろう電車に乗って、見知らぬ人と同じ空間を共有する気持ちにはなれなかったからだ。
それよりは人通りの少ない道を、涼しくなった春の夕方の空気を楽しみながら、のんびりと
歩きたい気分だった。
そうすることで、『彼女と二人きりで過ごした空気』を自分のまわりに留めておくことがで
きるような気がしたのだ。
しかし自宅に帰るとその空気は大きな寂しさへと変わった。
食欲も湧かない。
僕は自宅に到着すると、食事を摂ることもなく自慰行為を2回した。
1回は彼女とのプレイを思い出しながら… 。
そしてもう1回は、彼女とは関係のないアダルト動画を見ながらだ。
彼女のことを一旦自分の頭から引き離したかったのだと思う。
しかし、それでもスッキリすることはなかった。
結局何をしようとも『彼女と二人きりで過ごした空気』が僕から離れることはなかった。
むしろその空気は、僕のまわりに留まっているわけではなく、僕に纏わりついて切り離すことが
できないものになっているのではないかと思うようになった。
そうして僕は、モヤモヤした気持ちを抱えながら眠りについた。
※
日に僕が代々木のコテージを訪れたときも、彼女の態度に変わった様子はなかった。
彼女は「正直、来てくれるか心配してたわ」という発言こそしたものの、その言葉には本当
に心配しているような感情はこもっていなかった。
「昨日はとても… 気持ち良かったです。恥ずかしかったですけど… 。」と、僕はたどたどし
く正直に言った。
「そう、それは良かったわ。」と彼女は軽く微笑みながら言った。
そして、しなやかな人差し指で、ズボンの上から僕のペニスを1回だけピンとはじいた。
「ところで君は、いつもあんなパンツをはいてるの?」と彼女は言った。
「大学生のはいてるパンツなんて、あんな感じですよ。」と僕は言った。「もちろん、全部
じゃないですけど。」
「昨日のパンツ、使っていいのよ?あれはもう君のモノなんだから。」と彼女は言った。
「ありがとうございます。ただ、あれは僕には高価な代物ですよ。パッツンパッツンの窮屈
な高級パンツよりもヨレヨレ仕様の方が僕には合ってます。」と僕は答えた。
「あらあら、それは自分のアソコがデカいからスペースが必要なんですってことかしら… 。」
そう言いながら、彼女は僕の股間を鷲掴みにした。そして軽く揉み始める。
それによって、前日に起こされた出来事が僕の脳裏に蘇る。
「確かに大きいもんねぇ。君のココは。でもピシっとした下着も似合うと思うわ。慣れれば
そっちの方が気に入るかもしれないわよ?まぁ強制するつもりはないんだけど考えておいて?
じゃぁ、今日もお願いね。」
彼女はそう言いながら手を離し、僕を射精させることなくデスクの方へと歩いていった。
僕は少しだけガッカリした自分の感情を無理矢理なかったことにして、その日の仕事に取りか
かった。
【4】-お漏らし射精か否かの日々-
その日以降も、僕の中にあるモヤモヤした気持ちが晴れることはなかった。
そして僕にとって『彼女に会うこと』は、ちょっとしたくじ引きをするのと同じようなもの
になっていた。
彼女は日によって、僕の股間をまさぐるだけで終わらせたり、パンツの中で僕を射精に導い
たりした。
焦らされるのか逝かされるのかのくじ引きだ。
それは彼女の気まぐれによって決まっているのか、はたまた計算されたものなのかは分からない。
仕事をするので、彼女の美貌を拝むことになるのは毎度のことだ。
その上で、僕はくじを引かされるのだ。
「あらあらぁ、まぁた勃起してるじゃない」と彼女は言う。
仕事が終わった後に、僕の股間をまさぐりながら毎回語りかけてくるのだ。
それからどうなるのかは彼女次第だった。
初めて彼女に射精させられた日を合わせると、僕は5回焦らされて3回射精した。
射精した日は、いずれもパンツの中での射精になった。
射精をしてシャワーを浴びて、ヨレヨレのパンツを回収され、新しいパンツを受け取る。
彼女の言う『お漏らし射精』をする日は、それがルーティーンになっていった。
それと同時に、僕のヨレヨレパンツも1枚ずつ回収されていく。
そして、そうやって射精をしてもなお、僕の中にあるモヤモヤした感情が晴れることはなか
った。
自宅での自慰行為も減っていった。
この流れを変えるにはどうすればいいのか… 。
僕はそのことについて考える。
パンツが収納されたランドリーラックの前で考え込む。
無造作に押し込まれたヨレヨレのパンツと、綺麗に畳まれた3枚のボクサーパンツを眺めながら。
今日は大学の授業も新宿のアルバイトもない。
彼女との仕事だけだ。
「やれやれ」と僕は呟いた。
そうして、彼女からもらったボクサーパンツを穿いて、麻の紐パンとTシャツを着て、僕は
家を出た。
【5】-背徳の自慰行為-

